令和2年改正個人情報保護法の施行
1 4月1日より施行!
いわゆる令和2年改正個人情報保護法が,本年4月1日より施行されました。
あえて,「令和2年」と書いているのは,実は令和3年にも同法の改正がなされている(こちらも同日施行)ためです。
もっとも,後者はいわゆる「デジタル関連法案」の一つとして改正されたものであり,行政機関や独立行政法人等における個人情報の取扱いに関することが中心です。一般企業・事業者の方々に影響があるのは主に令和2年改正の方です(もちろん事業形態等によっては,令和3年改正の確認・対応も必要です)ので,ご留意ください。
2 何が変わるの?
ここでは,いくつかのポイントを紹介するにとどめます。詳細につきましては,個人情報保護委員会のホームページ等でご確認ください。
(1)短期保存データの開示等の対象化
これまでは対象外だった,6か月以内に消去するデータ(短期保存データ)についても「保有個人データ」に含められました。その結果,短期保存データも開示,利用停止等の対象となります。もっとも,開示等請求に応じるためだけに係るデータを保存する必要はありません(不要となれば遅滞なく消去する)。
(2)請求権の拡充
本人が利用停止・消去等の請求ができる場合について,「目的外利用,不正取得の場合」に限定されていましたが,本改正により,これらに加え,①利用する必要がなくなった場合,②重大な漏えい等が発生した場合,③本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合,にも拡充されました。
(3)漏えいなどが発生した場合の報告等の義務化
個人データの漏えい等が発生し,個人の権利利益を害するおそれが大きい場合,個人情報保護委員会への報告及び本人への通知が義務化されました(これまでは委員会告示による努力義務)。もっとも,「全件」ではなく,義務化の対象となる要件については委員会規則で定められています。
(4)その他
個人関連情報(生存する個人に関する情報であって,個人情報,仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないもの)の第三者提供規制や,公表事項等の充実(「安全管理のために講じた措置」の追加)なども規定されています。
3 困ったときは専門家にご相談を!
個人情報の取扱いについては,昨今,プライバシー保護の観点から国内外を問わず法規制が強化される傾向にあります。もっとも,個人情報保護法は用語の理解自体が難しく(私も適宜,文献を参照しています…),事業者の方が対応に苦慮することも少なくありません。
困ったとき,悩んだときは,ぜひ,弁護士等専門家にご相談ください。
(弁護士 小山 明輝)