所在不明共有者の持分を取得!

〇 経験談

 前回のコラム(2023年9月19日投稿)で、「所在等不明な共有者(不明共有者)の持分を取得する裁判手続き」についてご紹介しました。

 実は、同じころ、まさにこの手続きを取りたいとのご相談を受けて受任し、先日、無事にご依頼者様が共有持分を取得することができました。今回はその経験談をご紹介します。

1 事前(申立前)の準備


(1)前提として「所在等不明」な共有者の持分を取得する手続きなので、対象となる共有者が本当に「所在等不明」なのか調査(探索)し、その結果を「報告書」にまとめなければなりません(申立書に添付します。)。

(2)また、供託すべき共有持分の時価額の算定のため、簡易査定書や固定資産税評価証明書などが必要です。

(3)さらに、「申立てを理由づける事実(共有持分を取得したい事情など)」の確認のため、共有地の利用状況が分かる資料(現地の写真など)の添付を求められることがあります。

2 他の共有者の意向確認が行われます!


 申立てがあると、「公告」とともに、裁判所から他の共有者へ「通知」されます(他の共有者による異議」の機会を確保するため。)。

 そこで、申立前に、他の共有者に連絡を試み、所在不明共有矢野持分を取得することについての意向確認しておいた方が無難です。

3 ご依頼から持分取得までに要する期間


 先にご説明した「下準備」に要する期間のほか、3か月の「公告」期間や裁判後の不服申立て期間(2週間)などを考えると、ご依頼から持分取得(共有持分移転登記完了)までには、凡そ半年程度(場合によってはそれ以上)かかると見込まれた方が良いでしょう。

4 その他、実務的な注意点


 公告期間満了後、持分取得の裁判の前に、裁判所から「供託金を供託して、その旨裁判所へ届け出るように」と命じられます。

 ところが、この連絡は必ずしも書面で行われる訳ではなく、口頭で伝えられることもあります。また、「供託→届出」までの期間について、法律上は「一定の期間内」とされているだけなので、裁判所が任意に定めます(今回は2週間でした。)。

 そのため、事前に供託書の記載方法などを確認しておかないと、期限内での処理が難しくなるかもしれない(ただし、期間の伸長を求めることが可能。)ので、注意が必要です。

(弁護士 小山 明輝)