「フリーランス法」が施行されました!

1 「フリーランス法」とは。

 本年11月1日、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」、いわゆる「フリーランス法」が施行されました。

 同法は、フリーランスの方が安心して働ける環境を整備するため、「フリーランス・発注事業者間の取引の適正化」、及び「フリーランスの方の就業環境の整備」を目的として定められたものです(2023年4月28日成立、同年5月12日公布)。

 背景には、国内において働き方の多様化が進む一方、フリーランス・発注事業者間の取引でのトラブル(報酬の支払い関連、契約書がないなど契約内容が明示されないことに起因する紛争)が多発しているとの実情があります。


2 適用対象と義務項目

(1)取引

 「事業者間取引」のうち、「発注事業者からフリーランス」への「業務委託取引」が対象となります。つまり、「フリーランス・消費者間取引」は対象外です。また、事業者間でも、売買など業務委託ではない類型の取引も対象外です。

(2)フリーランス

 「業務委託の相手方」で、「従業員を使用しない」事業者です。従業員を使用しているフリーランスの方は、本法では対象外となります。

(3)発注事業者

 フリーランスに業務委託をする事業者で、類型によって課せられる義務項目の数が異なります。

 例えば、

「従業員を使用していない(フリーランスも含みます。)」委託事業者は、「書面等(書面のほかメールなど電磁的方法も可。口頭は不可。)による取引条件明示義務」を負いますが、

「従業員を使用している」委託事業者は、その他、「報酬支払期日の設定(原則として、発注品などを受領した日から60日以内のできる限り早い日)・期日内の支払い」「募集条項の的確表示」義務なども課せられます。

さらに、

「従業員を使用している」委託事業者が、一定期間以上行う業務を委託する取引の場合、受領拒否や報酬の減額など7つの行為が禁じられるほか、中途解除等の事前予告(解除の)理由開示義務が課されます。

 なお、義務違反には50万円以下の罰金が科せられるものもあります。


3 「Win Win」の関係を目指しましょう。

 本法はフリーランスの方の保護等のため新設されたものですが、本法により委託事業者に課せられる義務は、対等な事業者間であれば、本来、当然に実行、あるいは順守されるべきものだと思います。

 法律ができたからやむなく…ではなく、フリーランス・事業者間の業務委託取引を円滑に行い、両者が「発注して(受注して)良かった」と思えるように、積極的に本法を順守して頂ければと存じます。

(弁護士 小山 明輝)