民法(相続法)改正:遺産に含まれる預金の払い出しについて

平成29年5月に改正された債権法に続いて、平成30年7月6日、相続法も改正されました。改正された相続法の大部分は、公布された平成30年7月13日から1年以内に施行されます。ここでは、改正された相続法の項目から、遺産に含まれる預貯金の扱いに関する改正についてご紹介します。

現行(改正前)の規定:払い戻しに関する規定なし

亡くなった方の遺産に預金が含まれている場合に関し、その預金の払い戻しに関する規定はありませんでした。そのため、預金の払い戻しは、最高裁判所の決定(裁判の一種です)で示された基準に従って取り扱われていました。具体的には、相続人による遺産分割が終了するまでは、個別の相続人は預金の払い戻しができないこととされていました。

そのため、亡くなった方の葬儀費用や、遺された家族の生活費などが必要な場合であっても、遺産分割協議の前は預金が払い戻せないという問題が生じていました。

改正の内容①:家庭裁判所の保全処分の仮払いの要件を緩和

実は改正以前も、家庭裁判所に「保全処分」という手続きを申請し、要件を満たせば預金の払い戻しを受けることができていました。もっとも、改正以前は「急迫の危険を防止するため必要があるとき」だけしか払い戻しが認められていなかったため、ほとんど利用されていなかったようです。

今回の改正で、預金を「行使する必要がある」ときには払い戻しが認められるようになり、要件が緩和されました。

改正の内容②:簡易な払戻制度の創設

各銀行への預金の金額の3分の1に、さらに法定相続分を乗じた金額は、個別の相続人が払い戻しを受けられるという制度が創設されました。

たとえば、1200万円の福岡銀行の預金について、法定相続分4分の1を有する相続人が払い戻しを受けようとする場合、1200万円×1/3×1/4=100万円までは払い戻しが受けられることになります。

遺産分割協議がまとまらないけれども、相続税の支払いはしなければ…というような場合にも役立てられる制度です。

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