民法(相続法)改正:自筆証書遺言が使いやすくなります
平成29年5月に改正された債権法に続いて、平成30年7月6日、相続法も改正されました。今回の記事では、改正された相続法の項目から、自筆証書遺言(自分で作成することのできる遺言書のことです)に関する項目についてお伝えします。
改正の内容①:財産目録は手書きでなくてもOKに
改正前の民法では、自筆証書遺言はすべて遺言者が手書きする必要がありました。そのため、預金や不動産などを多数お持ちの方は、遺言の作成が大仕事になってしまっていました。
そこで今回の改正では、財産目録(財産の一覧表と考えてください)だけは、手書きせずともよいというように要件が緩和されました。ワープロで財産目録を作成する場合の他、登記簿や通帳のコピーを使うことも可能です。
預金や不動産を多数お持ちの方にとっては、好ましい改正となっています。
ただ、手書きではない財産目録を遺言に添付する場合は、それぞれの用紙に署名・押印をする必要があります。こちらはお忘れなく。
この改正は他の改正項目に先がけ、平成31年1月13日から施行されています。
改正の内容②:法務局で保管してもらえることになりました
以前は、自筆証書遺言は公的な保管制度がありませんでした。そのため、せっかく作った遺言が誰にも見つからないままになってしまったり、心無い人によって改ざん・破棄されるような恐れがありました。
このような危険をなくすべく、今回の民法改正に合わせて遺言書保管法が制定され、法務局で自筆証書遺言を保管してもらえるようになりました。遺言者が亡くなった後、相続人が法務局に問い合わせをすれば、法務局で遺言書が保管されているかどうか確認することができます。
法務局による自筆証書遺言の保管は、平成32年(2020年)7月10日から開始です。これより前は、法務局で遺言を預かってもらうことはできませんのでご注意ください。
遺言の作成は、相続争いを回避する有効な手段です。
使いやすくなった自筆証書遺言や、公正証書遺言の作成など、相続についてのご相談を当事務所ではいつでもお受けしています。ご心配事がありましたら、こたけひまわり法律事務所までお問い合わせください。