「共感する」ということ~クレーム対応研修の講師を務めました~

「クレーム処理のことを考えると,夜も眠れない。」

「『しっかり話を聴いて,共感して下さい。』と教えられたけど,とても共感できない。」

…皆さまの勤務先,あるいは経営されている会社・法人で,こんなことを聞いたり,あるいは実際にそのような体験をされたりしたことはないでしょうか。

飯塚社会福祉協議会様からお声かけ頂き,3月13日(火),「『共感』から始めるクレーム対応」というテーマで,クレーム対応研修の講義を行いました。

当日は,福祉施設の職員さんや自治体等の職員さんなど,約100名の方がご出席されました。

今回は,講義のエッセンスを幾つかご紹介します。

1.「クレーム」とは。

一口に「クレーム」と言っても,本来的な意味である「(正当な)請求」から,「complaint」

(不平・不満),さらには不当・不法な要求まで様々な意味で使われています。

これらをひとまとめにして「ラベリング」していることが,「クレーム」に対するネガティブなイメージにつながっているのではないでしょうか。

2.「共感」とは。

「クレーム対応」では,相手の方のお話を「傾聴」し,「共感」することが大切だと言われています。

もっとも,「クレーム対応」に関する書籍では,「同調」「同情」,あるいは「相手の気持ちの評価」にあたる言葉が「共感」の意味で用いられている場合があります。

縁あって学んでいる「NVC(Nonviolent Communication)」(非暴力的コミュニケーション)では,「共感」は「観察(observation),感情(feeling),必要としていること(needs),要求(request)」の4つの要素から成り立っている,と説明されています。

3.「自分への共感」

ところで,自分自身が苦しく,「しんどいなぁ~」と感じているとき,その気持ちを抑えて,「自分が対応しなければ」と考え,相手方の不平・不満を聴くのは,本当に大変なことです。

NVCでは,「自分への共感」も大切,と考えます。

自分自身の苦しみや悲しみ,後悔といった感情を無理に抑えつけず,しっかりと認め,許してあげましょう。 

4.「反応」の選択

ところで,「NVC」の学びの中で印象に残っている言葉に,

「人の言動は,私たちの感情を『刺激』するかもしれないが,『原因』となることは決してない。」

「自分の感情には100%責任があるが,人の感情には責任がない,という自覚を持つ。」

「と同時に,人が必要としているものを犠牲にして自分が必要としているものを満たすことができない。」

というものがあります。

つまり,相手の方の「不平」や「不満」,あるい「嘆き」に対し,同調するか,逆にイライラして反発し話を遮るか,それとも冷静にしっかりとお話を聴くか,その選択は「自分で決められる」のです。

相手の方の怒りや悲しみを,自分自身が引き受けて抱え込み,苦しむ必要はないのです。

5.「マインドフルネス」とは。

仕事中のミスや,クレーム対応をしたのは「過去のこと」です。

「明日,仕事に行きたくないなぁ」というのは,「将来のこと」です。

晩御飯を食べている,テレビを観ている,お風呂に入っている,まさに「今」,貴方の

心の平穏や身体の安全を脅かす具体的な「何か」は存在するでしょうか…?

「マインドフルネス」とは,まさに「今」「そのとき」の自分を注意深く見つめ,自分に「気づくこと」です。その実践として,「呼吸(深呼吸)」や「瞑想」があると,私は考えます。

6.「共感」の効力:NVCのススメ

「NVC」に基づいた「共感(によるコミュニケーション)」と,「マインドフルネス」(気づき)の実践を続けていくと,いずれ,「クレーム対応」へのネガティブなイメージや精神的なストレスが小さくなっていく,と私は強く信じています。

「クレーム対応」に困難を感じ,悩まれている方は,ぜひ一度,NVCの学びを体験されてはいかがでしょうか。

(弁護士 小山 明輝)

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