その解雇,大丈夫ですか?~就業規則と懲戒処分(解雇)の基本的なおはなし~

1.就業規則,ありますか?

 「職務怠慢(遅刻,無断欠勤,etc.)など問題のある従業員に対し,懲戒処分を下したい。」

 会社(法人)か否かにかかわらず,雇用者の方々は,残念ながらこのような事態に遭遇することも珍しくありません。

 しかし,実は,就業規則に懲戒の「事由」と「手段」を明記していないと,そもそも懲戒処分を下せない,ということはご存じでしょうか。

 時々,会社,あるいは個人事業主の方から「就業規則がない」ということを耳にすることがありますが,会社(事業所)の規律・秩序を守るという観点から,就業規則は必須と言えます。

2.「明日から来なくて良い。」は通用しない:(懲戒)解雇は慎重に。

(1)解雇が問題となる事件は多い

 「従業員を懲戒解雇にしたら,弁護士から『解雇無効(不当解雇)』を主張する内容証明郵便が届きました!」

 このような相談を受けることは,決して少なくありません。地方裁判所で申し立てられた労働審判のうち4割以上が解雇など(従業員としての)地位確認に関するもの,という統計もあります(弁護士白書2016年版)。

(2)懲戒解雇の高いハードル

 形式的には懲戒事由にあたるからと言って,直ちに懲戒処分が有効とは限りません。特に「懲戒解雇」は懲戒処分の中でも一番重いものであり,よほどの事情がなければ,裁判で争われた場合,「解雇権の濫用」として無効と判断されかねません。

(3)「普通解雇」にも要件がある

 一方,「懲戒解雇」の有効性を争われることを避けるため,30日分以上の平均賃金(いわゆる解雇予告手当)を払って,即日「普通解雇」すれば大丈夫かと言えば,そうではありません。

 解雇をする場合には,労働契約法(第16条)において「客観的に合理的な」理由と「社会通念上」の相当性が求められおり,両者のいずれかが認められなければ,やはり「解雇権の濫用」として無効となります。

 解雇が無効となる場合,雇用主が「問題がある」と考えた従業員の職場復帰,あるいは退職するとしても一定の損害賠償金や慰謝料などの支払いを求められることになります。

3.afterよりもbefore

  このように,従業員の解雇は,事後的にトラブル・紛争になるリスクを抱えています。リスクの予防ないし回避,あるいは「最小化」という観点から,事前の相談を強くお勧めします。

(弁護士 小山 明輝)

お問合せ