~一考~相続が「争族」になる原因は…?

「相続を『争族』にしないために」

最近、相続関係の法律相談案内のフレーズとしてよく見かけるように思います。

ご家族が亡くなり、悲しみに暮れる中、親族間で財産などを巡って紛争が発生する…。

このような事態は、亡くなられた方にとっても、残されたご家族にとっても、不本意で、悲しいことですし、紛争の当事者となる方々の精神的負担も大きなものです。加えて、弁護士に依頼する場合の費用も無視できません。

このような場合に備えて、「遺言書」を作成する、できれば遺言公正証書の作成が望ましい。

…と、概ねこのような内容の謳い文句が掲げられているのではないでしょうか。かくいう私の事務所も同じような文面を載せています。

しかし、より正確にいうと、私の事務所のホームページには、このように掲載されています。

 ~ 遺言書を残すことで、相続手続きにおいて法定相続人同士の争いを最低限に抑えることができます ~

「最低限に」というのがポイントです。

つまり、相続財産等を巡る争いを回避するために、遺留分や特別受益などの問題を考慮して、適切な内容の遺言(公正証書が望ましい)を作成した場合、相続に関する争いを「最低限に」抑えることが可能かもしれませんが、「完全になくす」のは困難ではないか、というのが私の思いです。

なぜか。

それは、私が、相続に関する相談を受けるときに思うのは、相続に関する争いというのは、実は、これまでの家族生活の歴史の中で蓄積された、親子間や兄弟間の心情的な対立、不信感あるいは不満などが、相続という事態の発生により表面化しているだけであり、「相続問題」は、その引鉄、あるいは手段に過ぎないように思われるからです。

遺言公正証書があっても、遺留分や「遺言無効確認」という形で争いが起こるときがあります。また、相続財産の多い少ないにもかかわらず、相続に関する争いは発生します。

ある親族が、「財産はない」と言っても、他の親族から「本当にないのか」という反論が来る場合もあります。

このような争い、対立、問いかけの根源・背景には、得てして相続人・被相続人間、あるいは相続人相互間の心情的対立や不信感など負の感情があるように思われます。これに対し、遺言公正証書は、主に経済的問題、つまり「相続財産」に関する争いを「法律的に」解決する手段たり得ても、心情的な問題を解決する手段としては、必ずしも有効・有益とは言い難く、かえって心情的な対立を大きくさせることにもなりかねないのです。

私も、職業上、遺言公正証書作成のお手伝いをさせて頂くこともありますが、ときに、「このような遺言書だと、相続財産の問題は抑えられるけれども、相続人同士の心情的な対立は決定的になるだろうな、本当に良いのかな。」と思うことがあります。

そのような場合、ご依頼者の方に、法律的な説明や紛争の可能性をお伝えし、「本当に良いですか。」と確認させていただくこともあります。しかし、それでも決意を変えられない依頼者様のお気持ちや、相続人の方々のお気持ちを思うと、「ほかに何か『円満に』解決する方法はないのか」と考えてしまいます…。

では、「争族」にならないための最善の手法は何か。

普段から、親兄弟をはじめ親族間でコミュニケーションを円滑に図る努力をする。平たく言えば、「家族みんな仲良く過ごす」のが一番なのかなぁ…と、思います。

もちろん、誰もがみんな仲良くする、というのは理想かもしれませんが、遺される家族のことを思い、相続を本当に「争族」にしたくないと願うとき、今からでも遅くないかもしれません、将来について、一度、ご家族としっかりお話をする機会を設けてみてはいかがでしょうか。

 その上で、やはり相続に関する専門的な意見を望まれる場合、縁がありましたら当法律事務所へお問い合わせいただければ幸いです…。

福岡県直方市と飯塚市の間に位置する小竹町の法律事務所です
こたけひまわり法律事務所
弁護士 小山 明輝

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