法定相続情報証明制度の勉強会を行いました(平成29年6月7日@JAふくおか嘉穂)

先日、弁護士コラムで「法定相続情報証明制度」の記事を掲載したところですが、本日、福岡嘉穂農業協同組合(JAふくおか嘉穂)さんと「法定相続情報証明制度」の勉強会を行いました。

講義形式で、講師(説明者)は「旭経営アシスト」の佐々木英司法書士と私、参加者は、JAふくおか嘉穂の職員さん約30名でした。
運用が開始されて間もないこともあり、参加者の皆さんは、とても熱心に聴いていらっしゃいました。

他方、私にとっても、講義(説明)の準備作業をしたこともあって、「法定相続情報証明制度」を学ぶ良い機会となりました。


例えば、「法定相続情報制度(法定相続情報一覧図)」と「相続放棄」、「相続人の欠格事由」、及び「推定相続人の廃除」との関係について。

「法定相続情報制度(法定相続情報一覧図)」と「相続放棄」

相続放棄は、家庭裁判所に対し、相続放棄の申述という手続きでおこなうのですが、そのことが戸籍には反映されない結果、法定相続情報一覧図にも反映されません

…と、ここまでは分かるのですが、具体的にどうなるかというと、法定相続情報一覧図には、相続放棄をした相続人の名前などは記載するのですが、その相続人が相続放棄をしましたということは記載しない(記載できない)、という取扱いをすることになります。

だから、相続放棄の書類が別途必要、ということになるのです。

「相続人の欠格事由」

このような取扱いは、戸籍には反映されない相続人の欠格も同様です。

「推定相続人の廃除」

他方、推定相続人の廃除については、廃除された(廃除の審判が確定した)ことは、戸籍に反映されます(○年〇月○日廃除)。したがって、廃除された相続人については、その名前などを記載しないのが原則です。

しかし、廃除により代襲相続が発生した場合は、名前などは記載しないのですが、例外として、例えば被代襲者と記載し、○年〇月○日廃除と併記することになります。

また、法定相続情報一覧図の保管期間は5年ですが、だからと言って、銀行などの金融機関が、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申し出日から数年経って発行された認証文付き法定相続情報一覧図を戸籍の束に代わるものとして受け付けるかどうかも分かりません

このように見ていくと、少なくとも相続人の方々にとっては、法定相続情報証明制度が運用されたからといって、相続に伴う不動産の登記や預貯金の解約・払戻しの手続きが簡単になるとは、直ちには言えないように思われます。

また、金融機関の方々にとっても、戸籍の束に代わるものとして認証文付き法定相続情報一覧図の提出を受け付けるときには、いろいろと注意すべきことがありそうですし、対応に悩むことも出てくるかもしれません。


相続に関しては、平成27年1月から適用された相続税法の改正(基礎控除額の引き下げなど)や今回の法定相続情報証明制度あるいは、現在検討されている相続に関する民法の改正問題などさまざまな動きがあり、今後も注視していく必要がありそうです。

私も、相続に関する皆さまのご相談に対し、的確に応えらえるよう今後もしっかり勉強してまいります。

平成29年6月
弁護士 小山 明輝

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