「シューカツ(終活)」とは?~終活セミナーの講師を務めました~
「最近,『終活』という言葉をよく耳にするけど,何だろう…?」
「『終活』って,何をすればよいの…?」
「…という訳で,法律の専門家という立場から,『終活』についてお話してください!」
…小竹町商工会女性部の方から,そんなご依頼を受けまして,さる11月17日,同会会館にて
「終活」と「相続」をテーマにお話しさせていただきました。
ここでは,「相続」のことは割愛して「終活」のご説明をいたします。
Q.「終活」とは?
「Wikipedia」では,「人生の終わりのための活動」の略で,人間が人生の最期を迎えるにあたって執る様々な準備やそこに向けた人生の総括を意味する言葉,と紹介されています。
私なりの理解によれば,ポイントは2つ。
1.もしものための準備
2.人生の総括
です。
1.もしものための準備
(1)法律家としては,まず,「相続」について考えて頂きたいところです。そのための準備と言えば,やはり「遺言」でしょうか。
(2)それから,ご葬儀のことも気になります。
(3)そして,そんなとき,「誰に連絡して欲しいか」ということも伝えられるようにしておくと安心かもしれません。
(4)さらに,身の回りの物品などの整理。この中には,「フェイスブック」などSNS上の情報をどうするか,という問題も含まれます。
(5)忘れてはいけないのが,「人生の最期を迎える前」に,認知症などで判断能力が衰えたときはどうするか,ということも考える必要があります。具体的には「任意後見制度(契約)」の利用などが挙げられます。
…などなど,「もしものための準備」には,考えておくべきこと,整理しておくべき情報がたくさんあります。
2.人生の総括
「終活」は,ただ「もしものとき」のことを考えるだけではありません。
これまでの人生をゆっくりと振り返る機会にもなります。
忘れられない出来事や思い出・人,長い時間をかけてやり遂げたことややり残したこと,
今まで心の中に秘していたけど伝えたいこと…
こういった様々なことを,「人生の総まとめ」として整理することも「終活」の一つです。
お時間とやる気のある方は,「自分史」を編纂するのも楽しいかもしれません。
3.ところで…「エンディングノート」の活用と注意点
「終活」を手探りで始めるのは,大変な作業です。
そこで活躍する(と思われる)のが「エンディングノート」と呼ばれている冊子の数々。
「終活」のために検討すべきことや,必要な情報が整理して記載できるようになっていて,「終活」作業に役立つものです。
ただし,次の点にご注意を。
(1)「エンディングノート」として作成されたものは,ご自身の「すべて」が書かれていると言っても過言ではありません。なので,
☑ 管理には十分ご注意ください。
☑ その一方で,「もしものとき」にそのノートがないと意味がありません。もっとも信頼できる人には,その存在を知らせておきましょう。
(2)「エンディングノート」≠「遺言」
「エンディングノート」は,相続のことを考えるあたり,自身の財産を整理して記載できるので役立ちます。もちろん,「遺言」を作成する「準備」のためにも利用できそうです。
しかし,「遺言」は,法律(民法)で定められた方法に従って作成しなければなりません。
例えば,直筆で作成する場合(自筆証書遺言),手書きでないとダメ,署名・押印はもちろん,年月日までしっかりと書かないといけない(○年〇月「吉日」はNG)などのルールがあります。
そこで,「エンディングノート」とは別に,「遺言」を作成する必要がありますので十分ご注意を。
なお,「遺言」作成にあたっては,「遺留分」を始めとして,法的に検討すべき事項が幾つかあります。
こたけひまわり法律事務所では,「相続」,「遺言」に関するご相談もお受けしております。
「終活」の一貫として,遺されたご家族が「相続」で争うことを予防するためにもぜひ,「遺言」作成についてご相談下さい。
(弁護士 小山 明輝)