小山 明輝

~変わる強制執行?:民事執行法改正のおはなし~

1.知っていますか?民事執行法の改正

最近,改正相続法や事業承継税制に関するお話を耳にすることが増えている印象ですが,実は「民事執行法」(預貯金の差押えや不動産競売など「強制執行」に関する法律)の改正も行われていたこと,ご存じでしょうか。

ちなみに成立は令和元年5月10日,施行は「交付日(5月17日)から1年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。

つまり,遅くても来年5月17日までには運用が開始されるということです。

2.何が変わる?改正のポイント

(1)債務者以外の第三者からの情報取得手続き

   一定の要件の下,裁判所を通じ,以下の情報が取得できるようになります。

     ① 金融機関から:預貯金や上場株式・国債等に関する情報

     ② 登記所から :土地・建物に関する情報

     ③ 市町村・日本年金機構等から:給与債権(勤務先)に関する情報

① 金融機関から:
預貯金や上場株式・国債等に関する情報

② 登記所から :
土地・建物に関する情報

③ 市町村・日本年金機構等から:
給与債権(勤務先)に関する情報

 もっとも,③については,「養育費等の債権」や「生命・身体の侵害による損害賠償請求権」を有する場合に限られます。

(2)財産開示制度の見直し

① 財産開示の申立てが可能な債権者が拡大されます。例えば,強制執行が可能な書面(「執行力のある債務名義」と言います。)が,「公正証書(により金銭の支払いを取り決めた場合)」や「仮執行宣言付き支払督促」の場合も利用が可能となります。

② 債務者への「ペナルティ」が強化されます。

(3)その他

 不動産競売における暴力団員の買受け防止方策の新設や,国内における子の引渡しに関する制度の整備,などがあります。

3.債権回収に関するご相談もお受けしています!

 事業者の方にとって,「債権回収」に関する悩み・問題はあって欲しくないものですが,なくならないものです。

 取引先が売掛金を払ってくれない,など「債権回収」でお困りのことがあれば,できるだけお早めに,「こたけひまわり法律事務所」へご相談ください。

(弁護士 小山 明輝)

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相続が変わります!~運用開始(施行)時期と「遺留分」のおはなし~

1.新しい相続法

 いわゆる「相続法」が改正され,段階的な施行(平たく言うと「運用開始」でしょうか。)がはじまっています。

 施行時期は,大まかに分けると次のとおりです。

  • 自筆証書遺言の方式の緩和
    2019年1月13日。つまり,すでに施行されています!
     
  • 配偶者の居住の権利(配偶者居住権)に関する規定
    2020年4月1日。とても重要な新設制度なので,要チェックです!
     
  • 法務局における遺言書の保管等に関する法律
    2020年7月10日。こちらも来年です。
     
  • それ以外
    2019年7月1日。つまり,もうすぐです!
     

2.「遺留分」制度が変わります

 「いりゅうぶん」と読みます。多少の誤解をおそれずに平たく説明すると,「法律上,相続人に最低限保証されている相続分」でしょうか。

 この遺留分制度が,次のとおり変更されました。

(1)被相続人による生前贈与や遺贈で遺留分を侵害された方は,「遺留分減殺請求」という方法で,相続財産から自分の遺留分に応じた「財産」の引き渡しを求めることができ「ました」。

「財産」と書いたのは,これまでは必ずしも金銭的な請求に限られなかったからです(例えば侵害された財産(利益)が不動産なら持分,株式なら株式。)。

 しかし,「2019年7月1日以降に発生した相続」については,「金銭」の支払請求に限られます。

 また,請求された側については,負担する額の全部または一部の支払いについて,期限の許与(猶予)を求めることができる制度も設けられました。

 これら制度により,例えば事業承継のために必要な株式を相続する場面で,悩みが緩和される,かもしれません。

(2)さらに,相続人に対する生前贈与についても遺留分減殺請求の対象となるのですが,これまでその「さかのぼり期間」の制限がありませんでした。例えば,20年以上前におこなった相続人に対する贈与も遺留分減殺請求の対象となり得ました。

 しかし,今後の改正により,その「さかのぼり期間」が相続開始前10年間に限定されることとなりました。

 そこで,今後は,事業承継のための早めの対策が,相続に関する身内の争いを回避する上で,より一層重要となりそうです。

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(弁護士 小山 明輝)

e(イー)ネ! ~民事裁判IT化への検討が始まっています!~

1.(民事)裁判にもIT化の波が。

 訴状や大量の証拠(書証)を,裁判所及び被告の人数分だけ紙面で用意し,収入印紙を貼って,郵便代(予納郵券)とともに送る,裁判が始まると期日ごとに裁判所に出廷する,etc.…。

 IT,IoTなどの言葉があふれかえる現代において,日本の裁判は未だにアナログ的です。

 しかし,ここに来てようやく,裁判(と言っても民事裁判に限ってですが)手続きにもIT化の波がやってきました。

  一昨年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」の中で,「裁判に係る手続き等のIT化を推進する方策について速やかに検討し,本年度中に結論を得る。」とされたことを受け,昨年の3月,「裁判手続き等のIT化に向けた取りまとめ」が発表されました(裁判手続き等のIT化検討会)。

  なお,最高裁判所長官の「新年のことば」でも民事訴訟手続きのIT化について触れられていました(裁判所ホームページ)。

2.3つの「e」。

 「取りまとめ」では,IT化の方向性として,「3つe」が示されています。

(1)e提出(e-Filing)

   主張(訴状など)・証拠のオンライン提出や手数料の電子納付・電子決済などに関するものです。

   実現すれば,大量の書類を準備する手間が省けたり,郵便代等裁判費用の削減につながったりする,かもしれません。

(2)e事件管理(e-Case Management)

   主張・証拠などのオンラインアクセスや,裁判期日のオンラインでの調整などに関するものです。

   実際に裁判に携わらないと分かりづらいですが,これが実現すると,弁護士的にはとてもとても助かります…。

(3)e法廷(e-Court)

   ウェブ会議やテレビ会議の導入・拡大などに関するものです。

   これは,機材さえ整えば,法的にも技術的にも直ぐに実現できるような…。

3.e(イー)相談?

  さて,我が身を振り返ると,相談は相変わらず,「事務所での面談」が原則。

  クラウド上で契約書等の管理を行えるサービスを提供している業者さんもありますが,さらに「ウェブ相談」など,「弁護士業のIT化」も真剣に検討する時期に来ているようです。

  (弁護士 小山 明輝)

今さらな「ドラレコ」ばなし。

1.「ドラレコ」,付けていますか?

  ドライビングレコーダ(車載カメラ),通称「ドラレコ」。現在は,多機能なものもあり,用途も「観光記録」のため,という方もいらっしゃるようですが,やはり,万一の交通事故に備えて(責任の所在を明らかにするため),という方が多いのではないでしょうか。

  ところで,皆さま,自車にドラレコ,設置していますか?

2.弁護士が実感する「ドラレコ」のありがたさ

(1)例えば,交通事故事件(損害賠償)をお受けすると,時々,運転手の「双方」が「自分が交差点に進入したときは,青信号だった」と主張し合う,という冗談みたいな事件に当たることも「珍しくありません」。

(2)当然,どちらか一方が「事実と異なる」主張をしているのですが,裁判では,損害賠償を請求する側が,相手方の過失(黄,又は赤信号での進入)を証明しなければなりません。

(3)この点,目撃者など第三者的な証人がいれば良いのですが,そういう「恵まれた」ケースは少なく,立証は意外に難しくなります。立証できないと,真実は,ご自身の進行方向が「青色」だったとしても,裁判には負けてしまうのです。   

(4)しかし,「ドラレコ」に進入時の信号の色を含めた事故当時の状況が記録されていれば,相手方の過失を証明することが簡単になります。

3.転ばぬ先の「ドラレコ」

  交通事故は,運転に気を付けていれば100%回避できる,というものではありません。

  私生活やビジネスでお車を運転される機会の多い方は,万が一に備えて,「ドラレコ」の設置を検討されては如何でしょうか。

「共感する」ということ~クレーム対応研修の講師を務めました~

「クレーム処理のことを考えると,夜も眠れない。」

「『しっかり話を聴いて,共感して下さい。』と教えられたけど,とても共感できない。」

…皆さまの勤務先,あるいは経営されている会社・法人で,こんなことを聞いたり,あるいは実際にそのような体験をされたりしたことはないでしょうか。

飯塚社会福祉協議会様からお声かけ頂き,3月13日(火),「『共感』から始めるクレーム対応」というテーマで,クレーム対応研修の講義を行いました。

当日は,福祉施設の職員さんや自治体等の職員さんなど,約100名の方がご出席されました。

今回は,講義のエッセンスを幾つかご紹介します。

1.「クレーム」とは。

一口に「クレーム」と言っても,本来的な意味である「(正当な)請求」から,「complaint」

(不平・不満),さらには不当・不法な要求まで様々な意味で使われています。

これらをひとまとめにして「ラベリング」していることが,「クレーム」に対するネガティブなイメージにつながっているのではないでしょうか。

2.「共感」とは。

「クレーム対応」では,相手の方のお話を「傾聴」し,「共感」することが大切だと言われています。

もっとも,「クレーム対応」に関する書籍では,「同調」「同情」,あるいは「相手の気持ちの評価」にあたる言葉が「共感」の意味で用いられている場合があります。

縁あって学んでいる「NVC(Nonviolent Communication)」(非暴力的コミュニケーション)では,「共感」は「観察(observation),感情(feeling),必要としていること(needs),要求(request)」の4つの要素から成り立っている,と説明されています。

3.「自分への共感」

ところで,自分自身が苦しく,「しんどいなぁ~」と感じているとき,その気持ちを抑えて,「自分が対応しなければ」と考え,相手方の不平・不満を聴くのは,本当に大変なことです。

NVCでは,「自分への共感」も大切,と考えます。

自分自身の苦しみや悲しみ,後悔といった感情を無理に抑えつけず,しっかりと認め,許してあげましょう。 

4.「反応」の選択

ところで,「NVC」の学びの中で印象に残っている言葉に,

「人の言動は,私たちの感情を『刺激』するかもしれないが,『原因』となることは決してない。」

「自分の感情には100%責任があるが,人の感情には責任がない,という自覚を持つ。」

「と同時に,人が必要としているものを犠牲にして自分が必要としているものを満たすことができない。」

というものがあります。

つまり,相手の方の「不平」や「不満」,あるい「嘆き」に対し,同調するか,逆にイライラして反発し話を遮るか,それとも冷静にしっかりとお話を聴くか,その選択は「自分で決められる」のです。

相手の方の怒りや悲しみを,自分自身が引き受けて抱え込み,苦しむ必要はないのです。

5.「マインドフルネス」とは。

仕事中のミスや,クレーム対応をしたのは「過去のこと」です。

「明日,仕事に行きたくないなぁ」というのは,「将来のこと」です。

晩御飯を食べている,テレビを観ている,お風呂に入っている,まさに「今」,貴方の

心の平穏や身体の安全を脅かす具体的な「何か」は存在するでしょうか…?

「マインドフルネス」とは,まさに「今」「そのとき」の自分を注意深く見つめ,自分に「気づくこと」です。その実践として,「呼吸(深呼吸)」や「瞑想」があると,私は考えます。

6.「共感」の効力:NVCのススメ

「NVC」に基づいた「共感(によるコミュニケーション)」と,「マインドフルネス」(気づき)の実践を続けていくと,いずれ,「クレーム対応」へのネガティブなイメージや精神的なストレスが小さくなっていく,と私は強く信じています。

「クレーム対応」に困難を感じ,悩まれている方は,ぜひ一度,NVCの学びを体験されてはいかがでしょうか。

(弁護士 小山 明輝)

「自動運転」中に交通事故を起こしたら,どうなるの?

 「自動運転」の開発が進む中,交通事故案件を比較的多く扱う者として,常々気になっていたことがありました。

 それは,「自動運転中に事故を起こした場合,誰が賠償責任を負うのか。」ということです。

 ちょうどそんなとき,2018年1月27日(土)の日本経済新聞朝刊に,「自動運転 導入へ法整備」という見出しの記事が掲載されました。

 一口に「自動運転」と言っても,ハンドル操作またはアクセル・ブレーキの自動化のみ,というレベルから,すべての運転を自動化(人は運転に関与しない)というレベルまで幾つかの段階に分けられるそうです。

 記事によると,今回の「法整備」は,いわばその「中間」の

 ○環境・交通状況など一定の条件ですべての運転を自動化。人はシステムの要求に応じて関与。

 ○場所など一定の条件下ですべての運転を自動化。人は関与せず。

というレベルを対象としたものだそうです。

 そして,肝心の賠償責任については,

 ○事故の賠償責任は,まず所有者・運転者が負う。

とする現在の制度を維持しつつ,「システムの不備」が事故原因となった場合は,保険会社が(支払った)保険金額の一部負担を自動車メーカーに請求できるようにする,ということを検討しているようです。

 もっとも,実際の事故においては,責任の所在を検討するための判断材料(事故当時の記録等)が必要となります。

 そこで,

 ○自動走行の時間帯や位置情報,運転手またはシステムによるハンドルさばきやアクセル・ブレーキ操作が記録できる「記録装置」の設置義務付け,さらには

 ○記録をもとに,自動運転車の事故原因を解明する新たな国の機関を創設すること

も検討されている,とのことです。

 このうち「システムの不備」に関してですが,自動車を含めた「製造物」の欠陥に基づく賠償については,「製造物責任法」の適用が問題となります。

 しかし,「欠陥」の存在を証明するための証拠収集は,なかなかに(控えめな表現かもしれません)大変です。

 「記録装置」の設置や事故原因を解明する機関の設置は,このような問題を意識したものと思います。

 もっとも,記録装置自体に欠陥があり,正常に作動しなかった,あるいは正確に記録できなかった場合はどうするのか,あるいは,事故により記録装置が破損して記録が消失する,という事態は発生しないのか,国の機関による判断の正確性はどう担保されるのか,などなど新たな課題も出てきそうな気がします。

 「自動運転」の開発だけでなく,これに伴う法整備の展開にも,要注目です。

(弁護士 小山 明輝)

 

「シューカツ(終活)」とは?~終活セミナーの講師を務めました~

「最近,『終活』という言葉をよく耳にするけど,何だろう…?」

「『終活』って,何をすればよいの…?」

「…という訳で,法律の専門家という立場から,『終活』についてお話してください!」

…小竹町商工会女性部の方から,そんなご依頼を受けまして,さる11月17日,同会会館にて

終活」と「相続」をテーマにお話しさせていただきました。

ここでは,「相続」のことは割愛して「終活」のご説明をいたします。

Q.「終活」とは?

「Wikipedia」では,「人生の終わりのための活動」の略で,人間が人生の最期を迎えるにあたって執る様々な準備やそこに向けた人生の総括を意味する言葉,と紹介されています。

私なりの理解によれば,ポイントは2つ。

1.もしものための準備

2.人生の総括

です。

1.もしものための準備

(1)法律家としては,まず,「相続」について考えて頂きたいところです。そのための準備と言えば,やはり「遺言」でしょうか。

(2)それから,ご葬儀のことも気になります。

(3)そして,そんなとき,「誰に連絡して欲しいか」ということも伝えられるようにしておくと安心かもしれません。

(4)さらに,身の回りの物品などの整理。この中には,「フェイスブック」などSNS上の情報をどうするか,という問題も含まれます。

(5)忘れてはいけないのが,「人生の最期を迎える前」に,認知症などで判断能力が衰えたときはどうするか,ということも考える必要があります。具体的には「任意後見制度(契約)」の利用などが挙げられます。

…などなど,「もしものための準備」には,考えておくべきこと,整理しておくべき情報がたくさんあります。

2.人生の総括

終活」は,ただ「もしものとき」のことを考えるだけではありません。

これまでの人生をゆっくりと振り返る機会にもなります。

忘れられない出来事や思い出・人,長い時間をかけてやり遂げたことややり残したこと,

今まで心の中に秘していたけど伝えたいこと…

こういった様々なことを,「人生の総まとめ」として整理することも「終活」の一つです。

お時間とやる気のある方は,「自分史」を編纂するのも楽しいかもしれません。

3.ところで…「エンディングノート」の活用と注意点

終活」を手探りで始めるのは,大変な作業です。

そこで活躍する(と思われる)のが「エンディングノート」と呼ばれている冊子の数々。

終活」のために検討すべきことや,必要な情報が整理して記載できるようになっていて,「終活」作業に役立つものです。

ただし,次の点にご注意を。

(1)「エンディングノート」として作成されたものは,ご自身の「すべて」が書かれていると言っても過言ではありません。なので,

☑ 管理には十分ご注意ください。

☑ その一方で,「もしものとき」にそのノートがないと意味がありません。もっとも信頼できる人には,その存在を知らせておきましょう。

(2)「エンディングノート」≠「遺言」

「エンディングノート」は,相続のことを考えるあたり,自身の財産を整理して記載できるので役立ちます。もちろん,「遺言」を作成する「準備」のためにも利用できそうです。

しかし,「遺言」は,法律(民法)で定められた方法に従って作成しなければなりません。

例えば,直筆で作成する場合(自筆証書遺言),手書きでないとダメ,署名・押印はもちろん,年月日までしっかりと書かないといけない(○年〇月「吉日」はNG)などのルールがあります。

そこで,「エンディングノート」とは別に,「遺言」を作成する必要がありますので十分ご注意を。

なお,「遺言」作成にあたっては,「遺留分」を始めとして,法的に検討すべき事項が幾つかあります。

こたけひまわり法律事務所では,「相続」,「遺言」に関するご相談もお受けしております。

終活」の一貫として,遺されたご家族が「相続」で争うことを予防するためにもぜひ,「遺言」作成についてご相談下さい。

(弁護士 小山 明輝)

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その契約書、だいじょうぶですか?(契約書のおはなし)

 今回は,ふだんの生活で目にされることも多いはずですが(ローン契約など),あまり意識して読まれることがないのではないか,と思われる「契約書」にまつわる基本的なお話です。

 特に自営業の方など様々な取引に携わっている方々にご一読いただけると幸いです。

1.契約書、つくっていますか?

 売買や、請負、賃貸などの取引において、お互いで合意した内容を書面にまとめたものが「契約書」です。

 「契約書」がないと、合意した内容について書面で確認できないため、後日、契約内容をめぐって紛争になることも少なくありません。

 「契約書」を取り交わすことは、このような紛争を予防することにつながります。

2.契約書、読んでいますか?

 では、「契約書、ちゃんとつくっているよ。」という皆さま、その契約書、しっかり読んだ上で締結(署名・押印)されていますでしょうか?

 「字が小さい」、「字数が多い」、「用語が難しい」などの理由で読み飛ばし、内容をじゅうぶんに理解していないまま契約してしまった、そんな経験はないでしょうか。   

 一旦、契約書を取り交わすと、例えば後日、「この内容だと自社(自分)にとても不利だ。」と気付いても、契約内容を変更する、あるいは契約を取り消す(解除する)ということは、簡単ではありません。

 したがって、契約書を取り交わすときは、事前に、契約内容をしっかり理解し、ご自身に著しく不利益なものがないかなど、十分にチェックする必要があります。

 そうすることで、ご自身に不利な契約を回避し、ひいてご自身の経営を守ることができます。

3.契約書、確認します、つくります。

 そうは言っても、契約書を読んで、正確に理解することは、法的な知識がないと難しいものです。

 こたけひまわり法律事務所は、契約書の作成や内容をチェックする業務も承っております。 ぜひ契約書を「取り交わす前に」ご相談ください。

平成29年10月

弁護士 小山 明輝

法定相続情報証明制度の勉強会を行いました(平成29年6月7日@JAふくおか嘉穂)

先日、弁護士コラムで「法定相続情報証明制度」の記事を掲載したところですが、本日、福岡嘉穂農業協同組合(JAふくおか嘉穂)さんと「法定相続情報証明制度」の勉強会を行いました。

講義形式で、講師(説明者)は「旭経営アシスト」の佐々木英司法書士と私、参加者は、JAふくおか嘉穂の職員さん約30名でした。
運用が開始されて間もないこともあり、参加者の皆さんは、とても熱心に聴いていらっしゃいました。

他方、私にとっても、講義(説明)の準備作業をしたこともあって、「法定相続情報証明制度」を学ぶ良い機会となりました。


例えば、「法定相続情報制度(法定相続情報一覧図)」と「相続放棄」、「相続人の欠格事由」、及び「推定相続人の廃除」との関係について。

「法定相続情報制度(法定相続情報一覧図)」と「相続放棄」

相続放棄は、家庭裁判所に対し、相続放棄の申述という手続きでおこなうのですが、そのことが戸籍には反映されない結果、法定相続情報一覧図にも反映されません

…と、ここまでは分かるのですが、具体的にどうなるかというと、法定相続情報一覧図には、相続放棄をした相続人の名前などは記載するのですが、その相続人が相続放棄をしましたということは記載しない(記載できない)、という取扱いをすることになります。

だから、相続放棄の書類が別途必要、ということになるのです。

「相続人の欠格事由」

このような取扱いは、戸籍には反映されない相続人の欠格も同様です。

「推定相続人の廃除」

他方、推定相続人の廃除については、廃除された(廃除の審判が確定した)ことは、戸籍に反映されます(○年〇月○日廃除)。したがって、廃除された相続人については、その名前などを記載しないのが原則です。

しかし、廃除により代襲相続が発生した場合は、名前などは記載しないのですが、例外として、例えば被代襲者と記載し、○年〇月○日廃除と併記することになります。

また、法定相続情報一覧図の保管期間は5年ですが、だからと言って、銀行などの金融機関が、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申し出日から数年経って発行された認証文付き法定相続情報一覧図を戸籍の束に代わるものとして受け付けるかどうかも分かりません

このように見ていくと、少なくとも相続人の方々にとっては、法定相続情報証明制度が運用されたからといって、相続に伴う不動産の登記や預貯金の解約・払戻しの手続きが簡単になるとは、直ちには言えないように思われます。

また、金融機関の方々にとっても、戸籍の束に代わるものとして認証文付き法定相続情報一覧図の提出を受け付けるときには、いろいろと注意すべきことがありそうですし、対応に悩むことも出てくるかもしれません。


相続に関しては、平成27年1月から適用された相続税法の改正(基礎控除額の引き下げなど)や今回の法定相続情報証明制度あるいは、現在検討されている相続に関する民法の改正問題などさまざまな動きがあり、今後も注視していく必要がありそうです。

私も、相続に関する皆さまのご相談に対し、的確に応えらえるよう今後もしっかり勉強してまいります。

平成29年6月
弁護士 小山 明輝

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何が変わる?~「法定相続情報証明制度」の運用開始!~

平成29年5月29日(月)から、「法定相続情報証明制度」の運用が全国の登記所(法務局)にて開始されます。

福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談「法定相続情報証明制度」って、なに?

 福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談 登記官が、相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)※1に「認証文」を付した写しを無料で交付する、という制度です。

 ※1 図形式のほか「被相続人及び相続人を単に列挙する」記載の場合もあります。

福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談 どのように交付してもらうの?

  1. (法定)相続人又は代理人が、登記所に必要書類※2を提出します。
    ※2 ①被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等、②①の記載に基づく「法定相続情報一覧図」、など。
  2. 登記官が確認し、「法定相続情報一覧図」を保管します(5年間)。
  3. 2.の後、登記官が「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」を交付します。
  4. なお、提出した戸籍謄本等は返却されます。

また、「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」は、必要な通数が「無料」で交付されます。

福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談 なにに使うの?

福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談 各種相続手続きに使われます。

例えば、これまで不動産について相続による名義変更手続きをする場合、「戸籍の束」(被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類など)を提出する必要がありました。しかし、この制度の運用がはじまれば、これに代えて、「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」を提出すれば足りることになります。

また、相続した預貯金の払戻し手続でも、同じような利用が想定されています。

福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談 相続手続きが簡単・便利になるの?

福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談 登記所や金融機関(銀行など)からすれば、これまで「戸籍の束」で確認する必要があった相続関係を、「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」で確認できることになるので、「簡単・便利」になると言えそうです。

しかし、相続人側からすれば、「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」を申請するためには、これまで同様、「戸籍の束」を収集しなければならないほか、「相続情報一覧図」を作成する必要があります。(登記官が作るわけではないことに注意!)

もちろん、「戸籍の束」を何度も収集し、提出し直すという手間はなくなりますが、これも、戸籍について「原本還付」という手続きを取れば良かったわけで…。

そうすると、相続人の方々にとって、本当に簡単・便利な制度なのかどうかは、今後の運用を見守りつつ判断されることになりそうです。

福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談 利用にあたっての注意点は?

福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談 いろいろありますが、いくつか指摘させていただきます。

  1. まず、すでにお話ししたとおり、「戸籍の束」は、相続人が自ら収集する必要があります。
  2. また、「法定相続情報一覧図」も所定の様式にしたがって、自分で作成しなければなりません。
  3. 「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」は、あくまで「戸籍の束」に代わるものであって、「遺産分割協議書」や「相続放棄申述受理書」に代わるものではありません。
  4. 「相続放棄」や「相続人の欠格」は記載されません。
  5. また,「(推定)相続人の廃除」がなされた「相続人」の氏名などは,原則として記載されません。
  6. 被相続人一人につき一つの「法定相続情報一覧図」です。
    したがって、「数次相続」※3の場合、被相続人それぞれについて、「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」が必要です。
    ※3 被相続人が死亡した後、遺産分割協議前に相続人が亡くなり、さらにその者について相続が発生すること。
    (例:祖父が死亡し、その遺産分割協議が終わらない間に父が死亡した場合など。)
  7. 登記所による「法定相続情報一覧図」の保管期間は、5年間です。

などです。

福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談 戸籍などの書類の収集や「法定相続情報一覧図」を作成するのは大変そうです。「法定相続情報証明制度」の利用について弁護士に依頼することができますか?

 福岡県北九州市八幡西区、直方市、飯塚市、宮若市、鞍手郡で相続を弁護士に法律相談 できます。

 これまでも、「遺産分割調停の申立て」など相続に関するご依頼を受けたときは、まず戸籍などの書類を収集するとともに「相続関係図」を作成させていただいております。

 こたけひまわり法律事務所では、「法定相続情報証明制度」の利用も含め、相続に関するご相談・ご依頼をいつでもお受けしております。

平成29年5月
弁護士 小山 明輝

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